わんこが自分の尻尾を追いかけてベッドでぐるぐる回っている朝。少しお腹が空いたのか、余っているご飯を食べている。うちのわんこはお弁当スタイルで、三分の二ぐらい食べて、残りは自分がお腹を空いた時に取っておいているっぽい。頭いいな。
エッセイの魅力に段々と気づいている気がする。小説になると、自分で物語を作らないといけないが、エッセイなら、過去を振り返ったり考えたりで、すぐに言葉が浮かんでくる。やっぱり、小説は難しいらしい。らしいってなんだ、難しい。少し書いているが、全然書けない。面白くしようとか、展開に美しさを考えたら、より書けなくなる。
そういえば、わんこと一緒に暮らしている人は、いい人が多い気がする。散歩していると、大体2~3組ぐらいに出会う。みんないい人。
そして何より、うちのわんこはモテる。
可愛いは当たり前で、通りすがりの人に「可愛すぎる」まで言われる。本人はまんざらでもない様子で、地面とクンクンしている。多分聞こえているし、理解もしている。モテる女は可愛いなんて言われ慣れているのだろうか。わからない。
そういえば、ペットショップにいたときは、こんなに可愛くはなかった気がする。可愛いというか、なんだか「切ない」表情をしていた。いい意味で、なんだか哀愁がある子だった。今では暴れん坊なのだが。木の柵をかじっておやつにするという、荒技すらやり出したから、困っている。それでも、こっちを見て「ん?」という顔をされると、頬が緩む。なんともあざといわんこである。
東京に出てきてから、何年が経つのだろうか。大学三年生の時だから、もう六年ぐらいか。てか、まだ六年なのか。出身は埼玉で、東京に比べたら少しだけ田舎だった。
自分は今、麻布十番という街に住んでいる。東京に住んでいるのに、この街の居心地が良すぎて、あまり最寄りから出ていない。高級住宅街と呼ばれているだけあって、治安は死ぬほどいい。変な挙動をしている人間はいない。マジでほぼいない。
わんこを散歩していると、何も考えないで空を見上げることが増えた。東京の空ぐらいしか、じっくりと見たことはないが、ぼくは東京の空が好きだ。ビルに隠れて大きな姿を見せられないのも、それでも広く青い無限を見せてくれることも、好きだ。