archives
2026.03.13

久しぶりの夕方の五時のチャイムを聞いた。実家の近くで鳴っていたものとは違って、東京のそれはすごく掠れていて、なんだか寂しそうだった。今日の空は、工場の跡みたいに寂れた白くて灰色の顔。まだ寒さが続く中で、ぼんやりと。
いつの間にか二十歳になっていることに気がつく。当たり前に煙草が買えて、酒が飲めて。なんだかそれって、変なの、と思った。もう二十七歳なのに、自分がまだ子供っぽい気がするのは、なぜなのだろうか。
一息つくと、藤原さくらのラジオを流した。そういえば藤原さくらのことが好きだった、小柄で可愛い女子が大学時代に同じサークルにいたことを思い出す。何しているかな、なんてことを考えるぐらいには、僕は間抜けで単純だ。
きっと普通に働いているだろうな、と思った。そもそも普通ってなんなんだろう、その言葉が自分から出てくるということは、自分のことは普通ではないと思っているのだろうか。まあ、言われてみたら普通ではないか。会社に行って働いて、ビジネス本を読んで、そういう生活をしている人たちとはきっと話が合わないのだろうなと思う。
寂しさもあり、嬉しさもある。
